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アメリカ居住中に気をつけたい狂犬病に関する基礎知識

海外赴任が決定しアメリカに関する様々な情報を集め始めた方は、きっとアメリカには日本とは違うたくさんの病気があることに気がついたことでしょう。今回はその中でも、症状が発症してしまったら致死率が100%と言われている狂犬病について紹介したいと思います。

まず始めに、狂犬病とは?

狂犬病という名前を聞くと、日本人の多くの方が思い浮かべるのは犬の狂犬病ワクチンだと思います。ではなぜ日本では犬の狂犬病ワクチンが義務付けられているのでしょうか?日本にそもそも狂犬病はあるのでしょうか?

答えは「日本に現在狂犬病はないけれど、国外から入ってきた時の予防策として狂犬病ワクチンを最も人への感染源となりうる犬に接種している」です。

狂犬病はRhabdoviridae科Lyssavirus属の狂犬病ウイルス(Rabies virus)によって引き起こされる、人を含む全ての哺乳類に感染する人獣共通感染症です。国が徹底して犬に狂犬病ワクチンを接種している理由は、この病気の発症後の致死率がほぼ100%と非常に高いためです。

2017年3月現在WHOの発表によれば全世界年間10000人の犠牲者のうち99%は犬からの感染(咬傷)で、95%はアジアおよびアフリカ地域で発生しているとされています。また犠牲者のほとんどが15歳以下の犬と遊ぶ年齢の子供であることも特徴的です。

現在のアメリカにおける狂犬病の現状

CDC (Center of disease control and prevention)によればアメリカでは毎年1−3人の狂犬病感染者が報告されており、その多くがコウモリまたは犬との接触により感染が成立しています(犬のほとんどはアメリカ国外での咬傷によるものです)。

アメリカでも現在はほとんどの飼育犬には狂犬病ワクチンが接種されているのですが、毎年60-70頭の犬および250頭以上の猫が狂犬病と診断されています。犬や猫への感染はほとんどが野生動物からと考えられており、コウモリ、アライグマ、スカンク、キツネの順で狂犬病に罹患されている率が高いことが報告されています。

日本では1957年以降、野生動物における狂犬病も発生していないので、それと比べると大きな違いです。

狂犬病の症状

狂犬病はウイルスを含む体液(通常は唾液)と、粘膜または外傷が直接触れることによって感染が成立する病気です。通常1−3ヶ月の潜伏期間を経て症状が発症し、咬傷部の腫脹や痛みについで興奮や不安感、全身の麻痺などの神経症状が発現し、昏睡から死に至ります。

動物に感染した場合には通常よりも攻撃的になることが知られており、それらの感染動物から攻撃を受けることで人への感染が成立します。

狂犬病の予防

狂犬病の発症後は治療方法はありませんが、現在では狂犬病は予防できる病気です。日本で狂犬病の予防をすることはまずありませんが、狂犬病の予防方法を知っておくことはアメリカ渡航者にとって非常に重要なことです。

狂犬病の予防方法には大きく分けて以下の2つがあります。

狂犬病暴露前ワクチンを接種する

これは予防的に狂犬病のワクチンを接種するもので、狂犬病が多く発生している地域への渡航者、または動物に従事する研究者や獣医師などに推奨されている接種方法です。暴露前ワクチンを接種していても、狂犬病感染動物に噛まれた場合は暴露後ワクチンの接種が必要になります。

日本では1回目の接種時に4週間間隔で2回の皮下注射と、6-12ヶ月後の追加注射が必要とされています。保険対象外のため、一回の接種料金は2万円前後です。

アメリカでは初回のワクチンを0日として、7日、21日または28日後の合計3回の皮下注射が必要となります。その後抗体価が下がった場合に追加接種をします。料金的には1回3万円前後です。

狂犬病暴露後ワクチンを接種する

これは狂犬病に感染している動物に噛まれた場合に接種するワクチンで、日本とアメリカでは接種方法が異なります。このワクチンは全世界で年間1500万人ほどが接種しており、狂犬病予防に大きく貢献していると考えられています。

狂犬病暴露後ワクチンは出来るだけ早い接種が必要になるため、ここではアメリカのプロトコールを紹介します。

狂犬病暴露前ワクチンを接種していない場合

初回のワクチンを0日として、3日、7日、および14日の合計4回の接種が必要となります。1回目のワクチンの日には狂犬病免疫グロブリンも一緒に打つため、合計2本の接種になります。

狂犬病暴露前ワクチンを接種していた場合

初回のワクチンと3日後の合計2回のワクチンが必要となります。狂犬病免疫グロブリン接種は必要ではありません。

狂犬病のワクチン接種に関してはアメリカプロトコール(CDC)日本のプロトコール(厚生労働省)がありますので、詳細については各々のホームページを参照にしてください。

ちなみに、2006年に日本では海外で感染した2人が空港で狂犬病と診断され亡くなっています(感染国はフィリピンです)。この例からもわかるように野生動物からの攻撃を受けた場合にはその動物が狂犬病に罹患しているかいないかの有無に関わらず、暴露後ワクチンを受けることが無難だと考えられます。

まとめ

アメリカには日本では見られないような致死率の高い病気がいくつもありますが、狂犬病はそれを代表するような人獣共通感染症です。現在では日本に病気が存在しないためワクチンの存在を知らない方も多いかと思いますが、ワクチンの存在を知っているだけで自分の命が救えるかもしれません。

アメリカは世界的に見ると人への狂犬病感染が多発している地域ではないため、狂犬病暴露前ワクチンまでは必要ではないかもしれませんが、日本に比べて野生動物を多く見かけますので、人間に近づいてくるような野生動物に接触するのは絶対にやめるなどの病気の認識と予防方法は頭に入れておくことが大切だと思います。

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