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アメリカ北東部(ニューヨーク周辺)で特に気をつけたいライム病に関する基礎知識

アメリカは日本とは異なり土地が広く自然がとても豊かです。そんな中でハイキングやキャンプなど様々なアウトドアを楽しみたいところですが、そんな時にちょっと気をつけて欲しい病気があります。それがライム病です。

ライム病は日本でも北海道や長野などの本州中部以北で稀に発生が見られる病気ですが、アメリカでは非常に患者数が多く社会問題ともなっています。特にライム病が蔓延しているのはニューヨークを中心とするアメリカ北東部ですので、付近の州に滞在されている方はぜひご一読ください。

まず始めに、ライム病とは?

ライム病(Lyme Disease)はボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)という細菌によって引き起こされる感染症で、最初に発見された場所コネチカット州オールドライム(Old Lyme)から名付けられました。

アメリカではそのほとんどがライム病に感染したシカダニ(blacklegged tick)に人間が噛まれることで発症します。シカダニは体長5mm以下の非常に小さなマダニで、噛まれた場合に気がつくのは全体の約2割程度だと考えられています。

ライム病はマダニが媒介する疾患であり、罹患した人から他の人への感染は起こりません。また母親に感染した場合、治療が適切であれば胎児への影響も認められないとされています。

感染が早期に発見された場合には適切な抗生物質の投与で完治が望めますが、適切に治療されなかった場合6ヶ月以上続く慢性の症状を示すことが知られています。

現在のアメリカにおけるライム病の現状

CDC (Center of disease control and prevention)によるとライム病はアメリカ全土で年間約3万人の発症報告がなされていますが、実際はそれ以上の患者数がいると考えられています。

発症症例の95%がコネチカット、デラウェア、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルバニア、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ウィスコンシンのアメリカ北東部14州で起きています。

その中でもコネチカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ペンシルバニア、ロードアイランドおよびバーモント州では2005-2015年の罹患率が50%を超えており、非常に蔓延していることがわかります。実際にコネチカット州に住んでいる私の周りでも、現地の人の中でライム病にかかったことがない人を見つけるのが難しいほど流行っている病気です。

特にライム病が多発する時期はシカダニが幼虫で吸血活動が活発な5月から9月の間です。

ライム病の症状

早期症状

シカダニに刺されてから3-30日以内に、マダニ刺咬部を中心とする限局性の遊走性紅斑がおよそ80%の患者に現れます。それとともに筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱などのインフルエンザ様症状が認められます。通常この時期の的確な抗生剤投与により、完治が見込まれます。

晩期症状

シカダニに刺されてから30日以上経過した場合に、慢性の関節炎、心筋炎、慢性脳脊髄炎などを原因とする、関節痛、不整脈、顔面麻痺、頭痛などが認められます。この中でも特にライム病心筋炎は全患者の1%に起こる致死的な病気として知られています。

慢性ライム病

ライム病の治療は通常2-4週間の抗生剤投与によって行われますが、抗生剤が適切に投薬されているのにも関わらず、疲労感や関節痛などが残る場合があります。この状態を慢性ライム病と呼び、自己免疫反応の結果だと考えられています。時間経過とともに症状は治まります。

ライム病の予防

現在ライム病に有効なワクチンはありません。そのためライム病の予防のためにできることはマダニの咬傷を防ぐことだけです。基本的にはマダニがいる草むらを避け道の真ん中を歩くことが推奨されていますが、その他にマダニ忌避剤を使うことも勧められています。

CDCでは露出した肌に20%以上のDEET、ピカルディジン(picaridin)、またはIR3535を含む忌避剤を塗布したり、着用する洋服自体をペルメトリン(permethrin)を含む製品で洗い、マダニの咬傷を避けることを推奨しています。

しかし一般的によく聞く話は、「道を歩いていると木の上からマダニが落ちてきて服の間に入り込み噛まれる」というものなので、マダニ対策もなかなか楽ではないように感じます。

また犬や猫などのペットを飼っている場合、ペットに付着したマダニも感染源になりうるため、ペットに対するマダニ予防もしっかり行うようにしてください。ちなみに犬はライム病の症状として、関節炎や腎炎を示すことが知られています。

マダニに噛まれているのを発見したら

ライム病がマダニから人間に感染するには少なくとも24時間の吸着が必要だと考えられているため、マダニに噛まれているのを発見した場合、速やかにマダニを取り除くことが必要になります。

マダニの頭部分は皮膚の中に残り炎症を残す可能性があるため、ピンセットでマダニの頭などなるべく皮膚に近い部分を保持し垂直に引っ張ってください。摘出したマダニにボレリア菌が感染しているか否かを調べてくれる場所もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?私も渡米するまで全く知らなかったのですが、ライム病はアメリカ北東部で非常に流行っており、多くの人が罹患している病気です。

私も知り合いとハイキングに行く際は、よく注意喚起を促されています。特に慢性経過を辿ると、関節痛と戦いながら数ヶ月間の抗生剤投与が必要になるようなので、症状を理解し早めの診察を受けた方が良さそうです。

また、シカダニはバベシアやアナプラズマといった他の感染症も媒介するダニなので、噛まれた場合の病気は一つではないかもしれないことを理解しておくのも大事かもしれません。

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