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ドイツの自転車通勤の状況と、会社にある自転車通勤のための嬉しい設備

1日の大半を占める勤務時間。そして毎日の通勤。
毎日の通勤が健康によく快適だったら、いいなあと思いませんか?

今日は世界的関心が高まる自転車通勤をテーマに、ドイツの通勤事情と自転車高速道路、会社にある嬉しい設備などについてご紹介します。

ドイツと日本の通勤事情

ドイツと日本の通勤手段、通勤時間、勤務先までの距離は以下の通りです。

通勤手段:ドイツの自動車通勤は66%

ドイツと日本の通勤手段の比較

ドイツ 日本
公共交通 14% 26%
66% 44%
自転車 9% 17%
徒歩 9% 7%

参考:2012年ドイツ統計、総務省統計局統計による2000年の日本の15歳以上の通勤通学手段

ドイツの公共交通の割合は日本の半分、車通勤が20%以上多い、自転車通勤は日本の半分であることが大きな違いです。(注:ドイツの数値は通勤者のもので、日本の数値は15歳以上の通勤通学者のものであるため、正確な比較は出来ません。日本の統計は、利用交通機関が1~3種類の人の割合の合計です。)

通勤時間:ドイツ人の70%が通勤時間30分以内。

ドイツと日本の通勤時間の比較

ドイツ 日本
10分以内 23% 24%(15分未満)
10分~30分 47% 29%(15~30分)
30分~1時間 25% 29%
1時間以上 5% 16%

参考:2012年ドイツ統計、総務省統計局統計による2008年の日本の家計主の通勤時間

大きな違いは2つ。通勤時間30分以内の人は、ドイツが70%で日本が53%と、かなりの差があること。そして、通勤時間が1時間以上の人がドイツでは20人に1人であるのに対し、日本では6人に1人であることです。ドイツ人の方が通勤時間が短いことが分かります。

ドイツ人の勤務先までの距離:25㎞以下が81%

ドイツ人の勤務先までの距離

自宅 5%
10㎞以下 49%
10~25㎞ 27%
25㎞以上 17%

参考:2012年ドイツ統計

10㎞以下が半数以上の54%、25㎞以下が81%と勤務先までの距離が近いことが分かります。

ドイツ人の通勤時間が短く、職場まで近い理由

ドイツ人の通勤時間が短く職場まで近い理由は、一極集中ではないドイツの街の形成にあります。これは、日本の都道府県別の通勤時間を見ると明らかです。通勤時間が40分以上なのは、東京、千葉、埼玉、神奈川、奈良県。30分から40分未満は、大阪と兵庫県のみ。宮崎県は30分未満の人が81%にのぼります。

70%という、ドイツの通勤時間が30分未満の人の割合と同じ都道府県は、北海道と山梨県です。

百万都市は4つ

人口8,000万人のドイツでは、百万都市は4つしかありません。1番人口が多いのはベルリンで350万人。2位のハンブルクは180万人。3位のミュンヘンは150万人、ケルンが100万人程度です。ドイツ一番の国際空港があり、高層ビル群をもつヨーロッパの金融中心都市のフランクフルトでも人口は70万人に過ぎません。
ちなみに、日本には11の百万都市があります。

政府機関、企業が国内に分散している

数少ない大都市にも政府機関、企業は集中していません。

20年程前まで、東西ドイツに分かれていたというドイツ特有の近代の歴史から、今でも旧西ドイツの首都であったボンには、国防省や環境省をはじめとする6つの省が残っています。

また、世界的に有名なドイツの大企業であるジーメンスの本社はミュンヘン(ドイツ南東部)、ダイムラーの本社はシュツットガルト(ドイツ南西部)、フォルクスワーゲンの本社はヴォルフスブルク(ドイツ北西部)にあるなど、一極集中の構造ではありません。

一極集中でないことの利点と街づくりの由来

1つの街が大きくないことで、通勤通学の距離と時間が短くなるという利点が生まれます。多くの人が会社や学校の近くに住めるのです。

この一極集中ではない街づくりの考え方は、ドイツの歴史に由来します。中世ドイツでは地方ごとに選帝侯(領主のような人)がいました。14世紀にドイツの7人選帝侯の中から国王を選ぶという勅書が出され、領主に特権が与えられたことで、地方文化が更に栄えていきました。現在もその名残がみられます。街ごとの特徴、食文化、方言、伝統があり、それらを人々は誇りにしています。

ドイツの自転車道:建設が進む自転車高速道路

自転車道路と走行ルール

1つ1つの街の規模が小さなドイツにおける街と街の間の交通機関は、鉄道、路面電車、バス、高速道路、時速100㎞程度で走行できる州道、そして自転車道路です。自転車道路は、畑や森などの緑あふれる自然の中に設置されます。

自転車道路でのサイクリングは快適です。大事なルールは右側通行。左側を走っていると、ベルを容赦なく鳴らされます。また右折の際には、右腕を指先まで水平に向けて合図をし、左折の際には、左腕で合図をします。

建設が進む自転車高速道路

ドイツでは、2010年頃から国内約10地域で長距離の自転車高速道路の建設が進んでおり、既に完成した区間もあります。自動車高速道路とは、交通が多く重要な長距離区間を、高速で走ることができる安全で魅力的な自転車道路です。信号もないので通勤渋滞緩和も大きな目的です。設計速度は35㎞、2通行の道幅は約4m。時速25㎞以下の電気自転車も通行可能です。

その中でも、大規模な自転車高速道路は、ルール工業地帯で有名なドイツ北西部のルール自転車高速道路です。10都市を結ぶ道路の全長は何と100km。既に12kmの一部区間が開通しています。

ドイツ政府の自転車通勤促進のための方策

ドイツでは、社用車利用が盛んです。社用車は私的利用できることも多く、無制限に私的利用できると定めている会社も多くあります。国は、社用車の代わりとして社用自転車も2012年から認めています。また、2017年には1.3億ユーロ(150億円)を自転車利用促進のために計上しました。そのうち2,500万ユーロ(30億円)は自転車高速道路用です。更に、自転車通勤者には確定申告の際に通勤距離1㎞につき30セントが所得税対象から除外されます。

民間団体も自転車通勤をバックアップ

民間団体も、自転車通勤をバックアップしています。ドイツの交通政策に大きく貢献している団体は、ドイツ自転車クラブ(ADFC)です。この団体は、自転車通勤をする社員を増やし、自転車通勤者の環境をよくするために、会社としてどのような設備(駐輪場や更衣室など)を整えればいいかをアドバイスをしています。

この団体はこれらの条件を満たした企業に、「自転車に優しい会社」という証明書も発行しています。この証明書は、「環境や社員の健康を大切にしている会社」であることを証明するものの1つとして評価されています。

また、550の企業から成る「環境に配慮した経営のためのドイツ仕事団体(Bundesdeutscher Arbeitskreis für Umweltbewusstes Management)」も、自転車に優しい会社を毎年表彰しています。

会社にシャワーがある:運動、シャワーの後に仕事をするという贅沢

ドイツ有力新聞Die Zeit のオンラインメディアZeit Onlineの統計では、自転車通勤をしない人の理由を次のように紹介しています。
「遠すぎる」、「会社までの道は自転車に適していない」、「会社に汗だくで到着したくない」。

汗だくのまま仕事をしたくないという問題を解決するのが、シャワールームです。
ドイツではある程度大きな会社にはシャワールームがあり、自転車通勤後にシャワーを浴びてから仕事をする人も少なくありません。シャワールームを昼の休憩時間に使う人もいます。昼休みにジョギングをした後、シャワーを浴びるのです。

友人のドイツ人が東京の外資系企業に勤務しています。彼は昼休みにジョギングをするのが習慣なのですが、何といっても困るのが会社にシャワーがないこと。ジョギング後、トイレで濡れタオルで汗を拭きとってから仕事をするんだ。と嘆いていました。

隣の国ベルギーの自転車通勤促進のための制度

最後に、自転車大国として有名な隣の国ベルギーで行われている制度をご紹介します。

ベルギーでは、頻繁に自転車通勤をする社員は新しい自転車を購入するときに、会社が用意した利子の低い独自のローンを組むことができ、自転車通勤促進に一役買っているとのことです。

自転車通勤で体をきたえよう!

環境への取り組み、渋滞の緩和のみならず、なんといっても注目すべきは運動効果ではないでしょうか。徒歩よりも楽に見られがちな自転車ですが、足の筋肉を多く使い下半身強化と有酸素運動で健康維持に最適です。

まとめ

ドイツと日本の通勤事情と環境大国ドイツの自転車通勤促進への取組み、いかがだったでしょうか。
世界中の国がお互いに、いい取組みを参考にしていけるといいですね。

ドイツ駐在の方は、是非この爽快な夏、自転車通勤を始めてみてはいかがでしょうか。そして、運動の後は会社で、シャワー。仕事がはかどりそうですね!

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